ソラノハテ:第四話

「おはよー」
「おはよう、紫羽」
クラスの仲間と普通の会話が交わされる。
どうやら今日は追っては来ていないようだ。
「深雨は来ていないみたいだね、OKINA」
「そうですね、体調でも崩したのでしょうか」
「うーん・・・。まぁ、学校が終わったら深雨の家に行ってみよう。昨日あんなことがあったばかりだから、ちょっと気が引けるけどね」
紫雨は苦笑いをした。
昨日は大量の黒服に追いかけられた直後である。
さすがにその追っ手の本拠地におもむろに向かうのはいくら紫羽でも気が引けるようだ。
「お、先生が来たようですよ」
「深雨は結局来なかったなぁ。やっぱり帰りに寄ってみよう」

・・・

「紫雨〜、今日はどーする?」
クラスメイトが声をかける。
「んー、深雨が心配だから、今日は深雨んとこにいってみるよ」
「相変わらずだなー。あんましあいつに関わると消されちゃうぞ」
「そんなことはないさ。深雨は深雨だよ」
「それでも、あいつの家は宮司だからなぁ。俺たちは怖くて近寄れないよ」
「そんなこと言ってたら深雨がかわいそうじゃんか。それに僕は宮司とか何とかは関係ないからね」
「さすがは紫羽だなー。俺たちにはそんな言い方はできないよ。んじゃなー」
友人たちは仕方ないなと肩をすくめていつもの遊び場へと散っていった。
やはり普通の感覚としては宮司の存在は非常に大きいのである。
非営利組織とはいえ、多くの力を持った国家そのものである宮司は畏怖の存在として認識されていた。
その神官長を父に持つ深雨もまたその畏怖の対象となっていたのである。
「別に深雨が怖いわけじゃないのにね」
皆がいなくなった教室で紫羽はOKINAに話しかける。
「仕方ないでしょう、国家から直接追われる可能性があるのですから。それこそさっきの子が言っていたように、紫羽ぐらいのものですよ、そういう感覚を持っているのは」
「僕だって捕まったりとか、殺されたりするのは嫌さ。でも、それが深雨とは関係ないと僕は思うけどね」
「親子の関係というのは本人たちの意識とは別に環境や先入観で見られることが多いですからね。まぁ、紫羽も近いものがありますが」
「僕の何さ」
紫羽はすねたような顔を見せる。
「ご両親がいないところとかですよ」
身もふたも無いOKINA。
紫羽はむしろこういうときに気を遣われることを嫌う。
それを知っているからこそのOKINAの発言である。
「あぁ、それか。まぁ、その辺は仕方ないだろうね。僕の親にも事情があったんだろうしさ」
「そんなに簡単に割り切れるものなのですかねぇ?」
「簡単に割り切れるもんじゃないさ。でも意外に簡単に割り切れるものだと思いたいね」
「やはりあなたは強いですよ。くるべきときが来たらきちんとお話できそうですね」
「でも、今はまだそのときではない?」
「そういうことです」
にっこりと微笑むOKINA。
「言うと思ったよ」
ぱたんとナビを閉じ、紫羽はナビをかばんにしまった。
「さてと・・・」
立ち上がり、帰り支度を整える。
「深雨・・・大丈夫かな?」
深雨の家は学校から10分程度。
城の最上階である。


To be.....




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2004 05/23 Written by ZIN Kozan
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